永遠ーエイエンー

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 手が自然と流花の腹を押さえていた。  そこにはまだ真新しい赤い傷が。  2日前、カッターナイフで流花の腹を切ってやったんだ。  何回も何回も、流花の腹が赤でいっぱいになるまで。  傷付けてるとき、流花はいつも悲鳴を上げない。  痛みがないとか、慣れてるとかじゃなくて我慢してる。  私の気が済むまで。  気付いて我に返ると、いつも後悔する。  こんなことしたいワケじゃないのに。 「ゴメン」 「いいよ、月輝の気が済むなら。いくらでも傷付けていいよ。最初に裏切ったのは僕だったからね」 「いいわけないだろ、バカ。流花のバカ」  私は泣く以外のことが出来なくなっていた。 「ねえ、セイジさんは私のどこが好きぃ?」 「ぜんぶ」  後ろにハートが付きそうなセリフ。  極上の笑みを添えてくるのだから、もうセイジさんに完敗ですよ。  ちょっと可愛い子ぶってミルクティーを突き刺してるストローをくるくる回す。  この人なら、私を受け入れてくれる?  淡い期待をしてしまうのは、私がまだ他人に希望を持ってるから?  この人なら……。  毎回そう思ってフラれる。  不安に押し潰されそうで、でも期待したくて。  二つの気持ちは頭の中でグルグル回る。 「あのさ」 「あのさ」  堪らなくなって、口を開くとセイジさんと言葉が重なる。 「セイジさんからでいいよ」 「おう、あのさ。ミスコンで2位のルカの双子ってホント?」  ナンデ?流花ナノ?  期待で頬を赤くさせているセイジさんはバカ丸出し。  私にはどこまで行っても流花の影が付き纏う。
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