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呪文は『合コン、合コン。おとなしくおとなしく』。
飲んでいたジュースがカラになって、グラスを音を立てて置く。
足を組み替えて腕を組んでる。
それを無意識でしていたことに気付くと、私は思いのほかこのバカ男くんに相当イライラしているらしい。
「それって、準ミスの黒田流花の話?」
「へぇ、すげぇ美人ってうわさの流花の?」
バカ男くんの話にさらにバカが湧いてきて、私の眉間にしわを刻ませる。
美人じゃなくて美男だっつーの!
いくらツッコミを入れようが、この手の湧いたバカ男くん共はキリがない。
ホントにウンザリするからその合コンでのお決まりの会話テーマを止めてほしい。
そして私に絡むな。
「なあ、黒田さん、今度さ流花を紹介せてくれよっ」
嬉々としたバカ男くんはとうとう私の地雷を踏んだ。
「そう!いいわよっ。アンタもーー」
『そっちの趣味の奴なのねっ!』と罵るつもりだった。
けど、それは「お待たせしました!」という男の大きな声に掻き消された。
そういえばバカ男くんがもう一人遅れてくるって言ってたっけ?
まだあどけない幼さの残る顔の遅れてきた男に言いようのない懐かしさを感じた。
「遅れてゴメン!平野星流ですっ」
そいつのおかげでだいぶ場は和んだ。
奴の持つ明るい光みたいな雰囲気がそうさせるのかもしれない。
「ねえ、ルカちゃんだよね?」
そいつが私を見て瞳の輝きが増す。
そもそも私にこんな“天然100パーセント!キラキラしてます”なんてキャッチコピーの付きそうな知り合いはいないわよ。
「だれ?」
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