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「ねえ、ルカちゃん。もしかして覚えてない?」
「あのね、私は月輝。流花は男」
「違うよ、君はルカちゃんだって!幼なじみの星流。忘れちゃった?」
速足の私に『セイちゃん』は付いてくる。
飼い主が子犬に纏わり付かれてる気分、ウザい。
ホント、マジでウザい。
「アンタみたいな知り合いは記憶の欠片にも知らないわよ」
セール、なんて変な名前の奴なんか知らないわよ。
幼なじみは天敵の和音だけ……のハズ。
「あのさ、ルカちゃんと久しぶりに話したいんだけど。朝一講義ならムリだよね?」
「そんなの嘘に決まってるでしょ。メンツ的に行きたくなかっただけ。でもアンタと話す気もないから、付きまとわないでくれる?鬱陶しい。
いきなり立ち止まるとセールは面食らった顔になった。
キッと睨んでんのに、最初は呆気にとられた顔がまたニコニコと変わる。
なんか、セール見てるとムカつく。
「別に付きまとってないよ、だって道が同じだからさ」
瞳がキラキラして、それが眩しくて私は目を背けたくて歩き出した。
そこから、私とセールの間に会話はなかった。
『い~い?ルキはきょうから“ルカ”にするの。だからルカは“ルキ”ってなまえ』
『えー?でもボクは“ルカ”だよ。ねえちゃん』
『ダメっ、ルキがルカのなまえをもらうの。ルキっておんなのこじゃないって、カズコがいいってたもん』
『カズネちゃんは“カズコ”じゃないよ』
『いいから、ルキはルカのなまえがほしいの。じゃなきゃルカとはもうはなさない』
『イヤだ。わかった。ボクはルキにする』
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