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人気のないカフェテリア。
ここが私のお気に入りの場所。
正直ここのメニューはマズイ。
パスタはパサパサ、モーニングのパンは冷えてる。
味がどうのこうのとかじゃなくて、場所が問題なのだ。
中央講堂からは1番離れてるが私の取ってる外国語科の資料室がある。
だから好んで通ってる。
そしていつも彼氏と会うのもこの場所。
カフェオレにベーグルサンドを食べながらケータイを見る。
人が少ないせいで、静かなのがまたいい。
1つ注文を付けるとしたら、なぜかセールが目の前にいる。
なんでいるわけ?
そもそも学部が違うっしょ?
「ルカちゃんっ」
「うるさい、私は流花じゃないの」
「ルーカちゃん、ねえってば」
目の前にいるセールの存在はシカトしてメールに集中してる。
相手は昨日知り合ったばかりの同じ大学の先輩。
見た目はどストライクだし、私の名前を聞いても流花の話をしてこなかった。
たぶん、付き合うと思う。
少しだけ、惹かれ始めてるのがわかる。
「ねえ、ルカちゃん」
メールの送信が終わり、セールに目を向けるとあるはずのない尻尾と犬耳が見える。
なに?幻覚ってやつ?
私、ちょっとヤバい?
しつこい、ウルサイ。
何もしてないのに私をキラキラした目で見るセールは、なんでかわかんないけどひたすら眩かった。
「なによっ、なんで私の前にいるわけ?」
「居たいから、好きだから」
「そうーー」
軽く流そうと思った言葉に瞬きを1つした。
良く噛み締めてみると、とんでもないことを言われた気がする。
「ルカちゃんが」
キラキラ100%なセールにムッとした。
流花。流花ね。流花か。
やっぱり流花なわけね。
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