春夏秋冬 ～季節の物語～

春

店の木でできた凸凹な床は男性の服から滴る雨で男性が歩いた所は小さな水溜まりになりつつあった。
男性はパッとフードを外し、屈託のない笑顔で笑って言った。
「よかったぁ。このあたり服屋さんてないし入っても嫌な顔されてすぐ出てきちゃっててさ。こんなにびしょ濡れじゃ店も嫌だろうから何だかやる気なくしちゃってて…。もしよかったら上から下まで全部まとめて買いたいんだ。今日は雨なんて知らなかったから傘もなしに家飛びだして。今日は高校の時の仲良い奴らと飯なんだけどさすがにこれじゃあね。」
男性は息つく暇なく喋ったので私は呆気にとられた。