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「今年、百年華が咲き誇るということは、百年前の森が平和だったということ。逆にいえば、今年の森が平和であれば、百年後にはまた百年華が咲く姿を見ることができる。わしらが、少ない金を集めてでもあんたら傭兵を雇うのは、百年後の森に百年華を咲かせるためなのじゃ.......」
長老は、しわがれた声でゆっくりと話す
「ちょっと、待ってくれよッ」
一人の傭兵が声をあげる
「ってことは、本当に俺たちは、たかが花を守るために命をはるってのか?」
老人はうなづく
「それで、必死に命を張って守ったとしても、それは百年後にならないと結果が出てこないってわけか?」
またも、老人はうなづく
「そんなバカな話があるかよッ。たかが、花のために命をはれってのか?じいさんよく考えてみろ。百年後と言ったら、あんたはもうこの世にいないはずだ。そんなことのために、なけなしの金をはたいて、俺たちに命まで懸けさせるなんてどうかしてるぜッ」
傭兵は、呆れた様子で言う
「百年後の子供たちに、この華が咲き誇るのを見せてやりたい。それのどこがおかしいのか、わしらには、逆にさっぱりわからんものじゃ」
長老はそれがまるで当然のことかの様に語る
「ふざけるなッ! こんな仕事はやってられねぇッ」
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