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怒声をあげると男は憤然として、砦から引き上げていく
それに続くように
「俺もでていくぜ」
「たかが、花のために命を懸けるなんてまっぴらごめんだぜ」
「まったく、わりにあわないぜ」
口々に不平を漏らしながら、追いかけるようにそれに続く
「悪いが、支度金はこのままもらっていくぜ」
だれもが、去り際にその一言は忘れない
傭兵たちは、次々に消えていき残ったのは、少女一人であった
「心配しなくていい。僕一人で、百人力だよ。逆に、邪魔な奴らが消えてよかったよ。それに......」
少女は、一度下を向き次の言葉を発することをためらっている
「あいつらの本当の仕事は、無事にこの村を守った後にあるんだよ。俺たちのおかげで、村を守ることができたんだともっと余計な金を要求される。払えないときは、金目のモノを奪っていく。あいつらは、単に上乗せ分が見込めないとわかって、とっとと帰ったんだ。むしろ、いなくなってくれた方が、僕らにとって好都合だよ」
そう少女が言い放つが、村人たちはあっけにとられている
「でも、あんたはどうして残ったんだい?」
村人の一人が尋ねる
「まあ、この華には借りがあってね。前にこの花が咲く姿に心が救われたんだ。それに、ことこの花に関してだけは、どうしても人事のように思えなくてね。金ならいらないから、ぜひとも、手伝わせてよ」
そう言って、少女はニコリと笑う
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