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「ホムンクルス?入りますよ?」
ヴァンパイアは丁寧に紫とオレンジのつぎはぎテントの入口を開け、中に入った。中には黒いローブのフードを深々とかぶり、顔が見えない人物が、フラスコを抱いていた。フラスコの口はこるくが詰められており、一本の管が突き出ている。持っている黒いローブの人物の黄色いつり上がった狼のような目が、ウィッチの喉元に刺さった。ふと、フラスコに黒い霧が集まり、縦長のだえんが並んで二つ、猫のような可愛らしい口がみい出てきた。だえんは目だ。
「やぁやぁ諸君。苦しゅうない、おもてをあげい!」
「下げてもいませんよ、ホムンクルス。新入りの子です。ウィッチちゃん。」
ヴァンパイアはウィッチの背中をぐいっと押した。フラスコが目の前に来る。
「やぁ、珍しい。女の子か!ここにも少し入るけど、どの子も内気な子だからなぁ。とても、僕の話し相手にはならない!」
「おんなのこ?女の子がいるのね、やった!」
ホムンクルスはじっとウィッチを見つめた。シュタインは背後でくもとじゃれあいながら、ヴァンパイアのズボンをしきりに引っ張っている。
「・・・・そうかそうか、トラックにはねられちゃったのか!可哀想に・・・」
「どうしてしっているの?見ていたの?」
「君の心を読んだのさ。そうか!ブラックと、旧友!いいね、あの子をもっと明るくしてくれ。」
ホムンクルスはふぁとあくびをすると、だえんのめを閉じた。ローブの人物がぼそりとつぶやいた。
「眠ってしまわれた。今日は引き取り願いたい。」
「あっれぇ?お茶するんじゃなかったのぉ?」
「また今度にしよう、シュタイン君。ウィッチちゃんに、女の子を紹介してあげないとね。」
「そっか!一人は嫌だもの、女の子を探しに行こう!」
「はじめは・・・・メドゥーサかな?あのこ、内気すぎて誰ともはなさないし・・・ウィッチちゃん、メドゥーサと友達になってくれる?」
ウィッチはテントから出ながらヴァンパイアにむかって胸を突き出し、右手でどんと叩いた。
「任せて!早く、その子のところへ行きましょう!男の子はもうたくさん!」
「ひどいなぁ。でも、しょうがないか!行こう、ウィッチ!」
シュタインはウィッチの腕を引いた。そういえば、最後に会った女の子は親友のニーナだった。
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