そして不気味な世界へ

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「エレンちゃんは、どうして死んじゃったの?」 ウィッチはふたりっきりで歩きながら尋ねた。ヴァンパイアとシュタインはエレンが出歩いていることに驚き、「どうぞごゆっくり」とふたりして引っ込んでしまった。 「えっと・・・・えっとね、自動車にはねられちゃって・・・・すぐには死ねなくて、すっごく痛かったの・・・・ヴァンパイアくんがね、たくさんの人から見られていたから、目に関係のある妖怪のメドゥーサになっちゃったんだって、聞いたの。」 ウィッチは笑った。 「あたしと同じね。あたしも、はねられたの。空たかーく舞い上がってね!空を飛んだから魔女よ!」 そして二人は笑った。すると、足元を何かがするするっと通りかかった。そしてメドゥーサの足の後ろに隠れ、もぞもぞ動いている。ウィッチはびっくりして足を止めた。 「・・・今のは?」 「あぁ、紹介するね。白猫さんは見てない?」 「見てないよ。ブラックキャットなら見たわ。生きてた頃の旧友だったの。」 メドゥーサは横に足を踏み出した。白い髪、白い猫耳、薄緑の鋭い目、白いボロボロの服。ピアスを耳にいっぱい付けている。アクセサリーもだ。 「ホワイトキャットのポテト。」 「メドゥーサが友達連れてお出かけか?」 ポテトはくくっと笑ってウィッチを見るなり、白いしっぽを見せつけ、ぱっと白猫に変身した。白猫にもピアスはついている。そしてたたっとオレンジと紫、茶色や黒をピーナッツバターみたいに塗りたくったおかしな世界の道を駆け抜けていった。メドゥーサは頬を膨らます。 「いつも皮肉ばっかり言って、すぐにどっか行っちゃうの。困った子よね。」 ウィッチはおかしな世界にまためまいを感じながら、メドゥーサと一緒に道を歩いた。
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