永遠にいってきます、ママ!

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「ねぇねぇ、お母さん」 シュバルツはおろした長い赤い髪をくしでときながら母親のエプロンを引っ張った。 「今日は塾があるでしょう?バスで塾に行くから、さきにバス代を頂戴?」 「はいはい。お財布から取っておいて。多めに取ったら、わかるんだから。」 お母さんはにやりとして食器を洗い始めた。シュバルツは泥棒なんかしないもん、とお財布に向かった。明日はハロウィン。子供たちは外を飛んだり跳ねたり、早めの「トリック・オア・トリート」の練習なんかしてる子もいる。シュバルツは情けないと思った。死んだ人が生き返ることなんて、ない。証拠に、2年前に死んだ父さんは帰ってこないんだから。 「いってきます。夜ご飯は何?」 「あなたの大好きなシチュー。パンプキンケーキも焼きましょうか。明日はハロウィンなんですもの」 「もう、からかわないでよ!ハイスクールに通う女の子はハロウィンなんて、流行遅れなんだもん!」 シュバルツは玄関のドアを思い切り開いた。 「ヘイ、シュバルツ」 「ハイ、ニーナ」 ニーナは早速と言わんばかりにシュバルツの赤い髪に触れた。 「やっぱ、いいなぁ赤毛。可愛いもん」 「いやよ。黒く澄んでるから、血の色みたいで気色悪いわ」 「そんなことないよ。とっても綺麗」 シュバルツは「ニーナのブロンドの方が綺麗よ」とさりげなく返した。交差点で2人は止まり、青信号になるのを待った。その間もニーナはシュバルツの髪をいじくった。 耳に嫌な音が入る。目の前の光景に息を飲んだ。トラックが、迫ってくる!ニーナの背中めがけて飛んでくるようだ。運転手は・・・・やだ、眠ってる! 「ニーナ、あぶない!!」 「シュバルツ?」 シュバルツはニーナの腕を掴み、歩いてきた方向に投げ飛ばした。鉄アミで頭を打ったニーナは文句をいおうしたが、トラックがシュバルツを見るも無残に投げ飛ばす光景を見て、口を縫ったように閉じた。 「シュバルツ!!」
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