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「ようこそ」と言われてもう2日経っていた。それでもこの不気味な街にはなれを覚えれない。小さな明るいオレンジ色の家に住まわされている。屋根はチョコレートのような茶色で、壁にはつぎはぎは施されている。紫の布をあてがった部分や、黒い部分もあった。家の中はまさにハロウィン一色で、ジャック・オ・ランタンがところせましとある。レンガ調の飾りに濃い茶色の本棚。壁は陽気におしゃべりまでする。いつも靴の中に虫が入ってないかたしかめるために壁に靴をたたきつけていたが、それすらできない。
「それで、ホムンクルスってだれなの?」
「ホムンクルスはぁ・・・そのままだよ。フラスコの中の人。そんだけ。」
シュタインは陽気にコウモリとたわむれている。見慣れているのか、ヴァンパイアはため息をついてシュタインの肩を叩いた。
「シュタイン君。ウィッチちゃんを案内してあげたら?この国に来たばかりだろ?」
「あぁ、そっか!じゃあ行こう、ウィッチ!」
「はぁ・・・私はシュバルツよぉ・・・」
いつの間にか服も変わっていた。髪の色とそっくりなチェックのスカート。黒いフリルがついたしろくろのボーダーハイソックス。濃ゆい赤をしたローファーに、頭には横長のハットクリップ。パッツンの前髪によく似合うツインテールにされていた。白いシャツに、スカートと同じ柄の小さめ蝶ネクタイ。サスペンダーの代わりのように、スカートから肩にかけてある鎖は少し重めだ。
あれこれ考える暇なく、シュタインに腕を引かれた。
「・・・・シュタインか・・・?」
「あれ?こんなとこで何してるの?ねずみあさりかな?」
建物と建物の間の暗がりに、赤い点が2つ、フット光った。中からゆっくりと人が現れた。赤い目に頭には黒い猫耳、グーにして胸の前で構えている指には鋭い爪が生え、髪は黒のセミロング。少し露出度の高い、黒き蝶の赤い飾りがついた服を着ている。目の鋭さと猫耳につけているピアスの趣味から、男の子とわかった。男の子ばっかりじゃない、やんなっちゃう!
「紹介するよぉ。新入りのウィッチ!」
「ウィッチ・・・・魔女か。」
ヴァンパイアよりもクールな見栄えだ。
「俺は・・・・ブラック・キャット・・・・化け猫さ」
少しうつむいて男の子は言った。ウィッチは顔を上げる。
「・・・・ヴァイス君そっくり。」
「誰だい?」
シュタインは顔を覗き込んだ。
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