夢と現実

7/12
前へ
/12ページ
次へ
翔がまず疑問を抱いたのは『イベント会社』というキーワードだ。 イベント会社は多くあるようで実はそんなにない。 県内であれば大体知っている会社が多い。 翔のイベント会社は県内でも三本の指に入るくらいの大手だ。 それに翔は営業、運営両方をこなしている事もあり、大抵の 会社の社長は知っている。 それに尾崎だ。こんな夜遅くに迎えに来るという事は、専属の運転手。 そんなに大きな会社を知らないわけないと思ったのだ。 「翔君、他で飲みなおす?」 気づくと翔のグラスは空になっていた。 来店した時の落ちた翔を見たこともあり、察してくれているのであろう。 考え込む翔を心配したのもあるが。 「あ、いいの?店・・・?」 「もう片付けも終わったよ。」 翔が考え込む間に店内はすっかり綺麗になっていた。 「キララも今日は頑張ってくれたし、もう少し寝かしておいてあげたいから一軒行こうよ。 翔君もまだまだ飲み足りないでしょ?」 そう言われると今日振られた事を思い出す。 (あぁ、今日は飲むんだった。) キララを想ってだろう。 暖房を強め、店を閉める。 「お待たせ。さあ、行こうか。」 外で待つ翔に声をかけ、二人は街へと繰り出す。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加