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どれくらい飲んだのだろう。
マスターに連れられて、マスターの馴染のキャバクラに来たまでは覚えているのだが・・・
周りには人があまりいない。
空を見るとうっすらと明るくなってきている。
マスターの姿も見つからず、外のコンビ二で一人佇んでいた。
時計を見ると六時半を指していた。
(マスターの店を出たのが二時過ぎだったよなぁ。
四時間弱記憶がないのか・・・。)
手にはウコンのドリンクが五本も。
(こんなに買ったかな?)
ほとんど記憶がない。
働かない脳をフル活用し、マスターと別れた事は思い出した。
ふらふらなマスターが手をふりながら去っていく姿が脳裏に浮かぶ。
(あーそういえばキャバクラでシャンパンを空けたんだっけ。
またやっちゃったな・・・。)
さらにマスターのキャバクラで裸になり、哀れな踊りまで思い出してしまった。
(はぁ。あの人飲むと見境がなくなるからなぁ。)
思い出し、不気味に微笑む翔。
でもなぜだろう。この気持ち良さは・・・。
一度記憶をなくしているのに何故だか心地良い気分。
世界が自分の物になった気がした。
酔いの絶頂とでも言うのだろうか。
何が起きても動じない最強の矛と盾を身に着けている気分だ。だが、それに反比例して寂しさに襲われる。
(もう一軒行くか・・・。)
流れに身を任せ、メイン道路を歩くがどのお店もやってない。
(そりゃそうだよな。もう朝だし。)
取り敢えず電話だな・・・。
いつの間にか、あけおめメールが大量に送られていた携帯を取り出し、
手当たり次第の女の子に電話をかけるが誰も出ない。
(正月に何で誰も出ねーんだ。普通初日の出見に行くだろーが。)
訳もわからない理由を並べる。
仕方なくもう一軒は諦め、帰ろうとタクシーを呼び止めたその時だった。
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