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俺は今、カツアゲなるものをされている。
訳がわからない。
相手は見ず知らずの相手だ。話したこともなければ、見たこともない。
「あ、あのー…」
とりあえず声をかけて油断を誘うか…
「あ?兄ちゃん、やっと金だす気になったか?」
ダメだ、通じない。
心の中で(Do you know Japanese?)と聞いた。心の中で。
「えっとですね、貴方達はこんな事をして悲しくないんですか?」
「んだとオイ!」
振り上げられた手、時すでに遅し。みぞおちに一発決められてしまった。
ゴバッ、と口から血が出た。どんだけ威力高いんだと思うかもしれんが、痛い。とにかく激痛が全身を走った。
「ううぅぅ…」
思わずうめき声を上げる。そこへすかさずヤンキーからの蹴りが一発。
「な、兄ちゃん。はよ金出しといたらこんな事にならんかったんやで、次からは素直に言うこと聞きや」
ん?まて、"次から"?
もしかしてコイツら、まだ金をたかる気かよ…
最悪だ、俺の人生。
サッ、とヤンキーが俺の財布をポケットから抜き、札を数え始めた。
「結構入ってんじゃねーか…ん、何だこれ」
「やめろ!!それだけは返せ!!」
ヤンキーが手に取ったのは写真。亡き親友と俺のツーショット写真だ。
「なんやようしらんけど…これ兄ちゃんの大切な物か。ちょうどええ、憂さ晴らしまだやったんや」
ビリビリと音を立てて、写真は破り捨てられた。
「……じゃね…」
「あ?なんや兄ちゃん」
「ふざけんじゃねえええええええええ!!!」
その時、俺の"裏"が、目覚めた。
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