時は夢にて

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「だけどな、これは「仲間」として言うぞ。……お前は、女なんだよ。時には誰かに頼ったって、迷ったって、良いじゃねえか。」 「けれど……。」と梨乃は腰に差した大小二本の刀を見る。それは武士の証だ。 「私は刀を差してる限り、武士なんだ。女だろうが、それは世間では通用しないから……。」 「世間で通用しなくても、此処では通用する。」 原田の意外な答えに、梨乃は思わず原田の方を見る。その瞳は、慈愛に満ちていた。 「皆お前を大切に思ってる。山南さんも、近藤さんも、総司や斎藤、平助や新八、俺や山崎、………土方さんもな。」 「でも……!」 「土方さんだって、普段彼是五月蝿いのも、お前を心配してるからなんだよ。山南さんは、厳しいけど、誰よりもお前を優先している。」 だから、と原田は更に言葉を続けた。 「皆、支えてるんだよ。お前をな。」 その言葉に勇気付けられた梨乃は、今度は笑顔で言った。 「ありがとう。左之助。気が晴れた。」 「おうよ。お前は笑顔が良いぜ?」 ふざけたような原田の言い方に、梨乃はクスリと笑い、再び寝転がる。 「何で左之助は珍しく早起きなの?」 原田は眠そうに目を擦りながら言った。 「お前の悩んでそうな顔が夢に出てきて、目が覚めたんだよ。」
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