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その問いに永倉は顔を歪める。
ーーー山南が土方達と馬が合ってきていないというのは、回りからも分かる事。
おまけに最近山南は隊士からも嫌煙されており、部屋に篭りがち。
昔は誰か彼かが必ず山南の部屋を訪れていたものだが、今や彼を訪ねるのは沖田か永倉のみ。
辛かろうに。しかしそれを口にしないことはこそすれ、顔にも出さないのが山南で。
故に山南を兄貴分の様に慕ってきた沖田や永倉も彼が何を考えているかは分からないのだ。
「土方さんも土方さんだよな………」
大路を眺めながら呟く原田。彼の目には些かの“やりきれない”気持ちが映っていて、焦点は定まっていない。
「……新選組の鬼副長様は、他人の都合なんて考えちゃいねぇよ」
原田の言葉に、永倉は少し怒りの籠る口調で冷たく言い放す。
…………果たして、本当にそうなのだろうか。
梨乃の心に、疑問の灯が灯った。
「……私、歳三と一度話してみるよ」
「ブフッ!」
梨乃が何気無しに呟いた言葉に、原田は盛大に茶を吹く。
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