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永倉が原田をたしなめたのとほぼ同時に、梨乃はバッと顔を上げた。
「やってみなきゃ分かんないでしょ!」
店に響き渡るような大声。驚きのあまりに原田はまた茶を吹きだし、永倉は団子を口から落とす。
他の客も梨乃を見つめ、何事だ、とでも言うように興味津々。
しまった、と我に返った梨乃は、今度は二人にだけ聞こえるような声で言った。
「と、とにかく…私が一度話してみる。それでいい?」
「いや、うん、まぁ……気を付けろよ」
とにかく歯切れの悪い原田。そして落とした団子を「大丈夫」といって茶でゆすぐ永倉。
まるで安定感の無い二人だが、確認するに越したことは無い。
梨乃は原田の返事を聞くと、ホッと胸を撫で下ろす。
ーーーー大丈夫、出来る。怒らせない。
心の中でしつこいほど言い聞かせる梨乃。
いつも以上に緊張する彼女を、原田は不安そうに見つめていたーーー。
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