方舟に乗るは

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その夜 何がどうなったのか、はたまた好都合というか……。 梨乃は土方に晩酌に誘われ、二つ返事で了承してしまった。 「これ……都合、いいんだよね…?うん、絶対そうだ…そうに違いない」 縁側で一人呟く梨乃。徳利と猪口を持って、鬼…基、土方を待っている。 今さらながら不安になるのは人間の性。生来気の小さい梨乃なら尚更、だが。 「何してんのさ……早く来てよ……」 後で行くと言っていた土方。 だが彼はかれこれ十分姿を現していない。 大方部屋で書簡をしたためているのだろうが、今の梨乃にはその間すら厭わしかった。 「あーもう!早く来てよバカ歳!」 梨乃が叫んだ刹那…… 「ほお…今のは聞き捨てならねぇなあ……」 ……幸か不幸か、梨乃の元に土方がやって来た。
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