82人が本棚に入れています
本棚に追加
その夜
何がどうなったのか、はたまた好都合というか……。
梨乃は土方に晩酌に誘われ、二つ返事で了承してしまった。
「これ……都合、いいんだよね…?うん、絶対そうだ…そうに違いない」
縁側で一人呟く梨乃。徳利と猪口を持って、鬼…基、土方を待っている。
今さらながら不安になるのは人間の性。生来気の小さい梨乃なら尚更、だが。
「何してんのさ……早く来てよ……」
後で行くと言っていた土方。
だが彼はかれこれ十分姿を現していない。
大方部屋で書簡をしたためているのだろうが、今の梨乃にはその間すら厭わしかった。
「あーもう!早く来てよバカ歳!」
梨乃が叫んだ刹那……
「ほお…今のは聞き捨てならねぇなあ……」
……幸か不幸か、梨乃の元に土方がやって来た。
最初のコメントを投稿しよう!