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そこまでして梨乃に酒を飲ませ、土方は一体何をしたいのだろうか。
梨乃は酒の入った猪口を突き返すと、土方を思い切り睨み付けた。
………だが土方は痛くも痒くもない。
事も無げに酒を飲むと、含み笑いで梨乃を見つめる。
「な、何……?」
その笑みに嫌な予感しか感じない梨乃。尻で後ずさろうと腰を引いた。だが……
「ひあ!」
手首を掴まれて引き寄せられ、再び土方の隣に舞戻る。……今度は些か近くなって。
土方は梨乃を見下ろしてまた喉を鳴らすと、ゆっくりと口を開いた。
「……山南さんのこと、俺に聞きてぇんじゃねえのか?」
ーーーー梨乃の心臓が、一瞬凍り付く。
そのままぎこちない動きで土方を見上げるも、彼は含み笑いを浮かべたまま。
何を考えているかなんてさっぱり分からない。
「なんで知ってるの……?」
「あ?んなもん見てりゃ分かる」
そんなこと言われても……と附に落ちない梨乃。
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