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山南は益々額の青筋を増やし、口許をひくひくと痙攣させた。沖田は震え上がり、土方の左腕にしがみつく。
「おい、総司離れろ!暑苦しいだろうが!」
「嫌ですよ!僕だって怖いもの位あるんです!」
相変わらず沖田は土方から離れようとしない。土方は心底嫌そうに振り払おうとしている。
「暑苦しいやつだな!季節を考えろ!初夏だぞ、初夏!」
「そんなの土方さんが何とかしてくださいよ!副長でしょうが!」
「てめえは俺を化け物か何かと勘違いしてねえか?副長命令だ!離れ「ダン!!」……。」
土方の言葉を遮ったのは、山南が拳で畳を叩く音だった。二人は互いにしがみつく。
「………そろそろ口を聞けないようにして差し上げましょうか……。ねえ、お二人。」
二人はもう恐怖で口が聞けなくなってしまい、コクコクと頷くばかりだ。山南は盛大なため息をつき、部屋を出ていった。
その瞬間、沖田は胸を押さえて安堵のため息をつき、土方は正座を崩した。
「もう!土方さんのせいですよ!大声でまくし立てて走り出すから!」
「俺のせいにしやがんのか!?大体お前が「土方君?」……すみません。」
山南が部屋を覗き込み、再び黒い笑顔で注意する。土方はか細い声で返事をした。
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