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「梨乃ちゃん笑うなって!」
永倉は口に白米を含みながら梨乃をたしなめた。
「口のもん見えてるよ!汚い!」
原田は永倉の口を塞いだ。永倉はウーウー唸っている。
……と、沖田は土方の肩がプルプルと震えている事に気がついた。それがどういう事か悟った沖田は、箸を置いて耳を塞ぐ。続いて梨乃、井上、斎藤、近藤、山南も耳を塞ぐ。と同時に……。
「てめえら飯ぐらい静かに食いやがれ!!」
土方の雷が他の三人に直撃する。これが新選組幹部の食事風景だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーその日の夜
「歳三?入るよ?」
「入れ。」
土方に呼び出されていた梨乃は、土方の部屋に入る。
「何の用?」
「その事だが…。」
土方は梨乃に向き直った。土方の端整な顔立ちに、少々の翳りが見える。梨乃はそれを見逃さなかった。
「長州の事?」
見透かしたような梨乃の答えに、土方は目を見開き、そのあとに自嘲的な笑みを浮かべる。
「お前には何でもお見通しなんだな。」
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