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一方新生児室のベビーは、微睡みつつ誕生を追憶する。
―――誕生前に居た所…九識心王真如の都、そこは浄らかな仏界(仏様の世界)であるとベビーには悟れた。
その仏界の泉の辺に、小さい誕生前のベビー達が、麗しのお釈迦様と共に居て「誕生後の未来予知教室」で学んでいた―――
「僕達がいるから世界は平和になる。(フェミニスト)」
「いや世界はこのまま、平和も争いも両方続く。(モラリスト)」
「違う!世界はその昔昔の始まりの頃に戻って、一からやり直しなんだ!(リアリスト)」
「わぁ大変だ!(凡夫)」
「でもお仕事は一杯よ!(秀才)」
彼らはその予知に従って、背丈が伸びたり縮んだりしている。
お釈迦様がおっしゃる。
「ベビー達、良く聞くのです。
あなた達はこれから聖練を受けた後に人界に生じます。」
「人界ってどんな所ですか?」
あるベビーが尋ねた。
「我当に之を度す。私の度が『立ち渡る 身の憂き雲も 晴れるべし 絶えぬ実りの 鷲の山風』のように三界に行き届き、苦しみに遭う時も世間に父母のような人達がいて慰められ、皆でとても平らかな境地の中で、幸福を得ながら暮らしているのですよ。」
「僕達も幸福になれますか?」
「ええ、必ず幸福になれます。」
お釈迦様はニッコリ微笑まれた。
「また、自分がきちんと幸福になって、まだ幸福でない人を助けてあげるのです。」
「ハーイ。」
「誰が一番多くの人を助けていく事が出来るか、皆で楽しく競争しましょう。」
「ハーイ。」
「自分が不幸な時は、私の法を念じるのです。
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