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アタマッポウもなけなしの勇気をはらってスイングした。
ノリや詩が古風にも新しくにも響くのである。
♪雄々しく気高き我が慈しの父クルマートよ、悲し母ハルは、我を眼に見んと妙(たえ)む♪
9㌢、アタマッポウ生命最大の森羅万象の覚知なのか、千差万別の数多の銀河と星が塵や芥のように空間に満ち溢れて、さんざめく様子が見える。
10㌢、ベビー達は新生児の大きさになり、光り輝いて誕生を待つ。
ハルがいきむその時、炸裂する光に反応したアタマッポウは、白日の下に晒される自分に対する羞恥心から頬を染めた。
ジャスト!ベビー達が一斉に消えた。
そして空っぽの聖なるジェットコースターは、来し方に向かって消えて行った。――――
珠玉の聖練を終えて、オギャー(ワーイ)と産声を上げるアタマッポウに、病院ではご覧の通りの一騒動。
しかし、後産をアタマのシッポにくっつけ出胎した、立派な安産であった。
追憶が終わって全身で通過した産道での体験に興奮覚めやらない中、アタマッポウは目覚めた。
これからの人生に向けてファンファーレをと、右手をタクトのように振ると音楽が鳴り響く。
頑是無き彼の身には、確かにお釈迦様のように超能力が備わっていたのだ。
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