ベランダの猫と女

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ベランダの猫と女 Act.1.9 今日は、雨が降っている。 それも土砂降り。 わたしは雨が嫌いだった。 外に出ることができないからである。 でも、最近は雨の日を楽しく感じることができるようになった。 それは、野良猫ミケのおかげかもしれない。 わたしは待ち人ではなく待ち猫を待った。 わたしはこの家で一人暮らしをしている。 部屋で一人でいると一人ぼっちの様な気にさせられる。 部屋は明かりをつけているのに沈黙で暗い雰囲気になる。 そんな時、一匹の猫が隅の路地から塀を登ってやって来た。 そう、待ち猫の野良猫ミケである。 わたしの少し離れた場所に野良猫ミケが体に付いた水を払って座る。 ふたりで雨が降る風景を眺める。 わたしは野良猫ミケを観察していると。 「くしゅん。」 野良猫ミケがくしゃみをする。 寒いのだろうか? 鼻をひくひくさせて今にもくしゃみをしそうだ。 何か暖かいものは無かっただろうか? そういえば昨日牛乳を買っていた事を思い出す。 わたしは台所の冷蔵庫を開ける。 牛乳パックを皿に開け、レンジで1分ほど暖める。 それを、野良猫ミケの隣にそっと置く。 野良猫ミケはくんくんと匂いを嗅ぐ。 そして、わたしの方を見ると小さい声で・・・。 ニャーっと鳴く。 (か、かわいい!?) 野良猫ミケはミルクを一口チロっと舐める。 すると、驚いたかのように後ろに少し跳んだ。 どうやら、少し熱かったようだ。 それから、少し時間が経ちミルクが冷めたころには空になっていた。
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