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X'masの約束
街路樹がうっすらと色づき始める頃。肌寒さを感じさせながら吹き抜けて行く風は、今年も秋を連れてきた。
11月、俺の仕事は忙しさを一気に加速し始める。
「光樹、そろそろ行くぞー!そこの資料、持ってきてくれよ」
「はーい!すぐ行きますんで、先に降りといてください」
社長の声に答えながら、机の上の資料をカバンに詰め込んだ。
泉 光樹、28歳。
クリスマスを中心に全国各地で繰り広げられる光のイベントを演出、セッティングを手掛けるイルミネーションデザイナー。
冬の夜空を彩るイルミネーションイベントをプロデュースするデザイン事務所に、高校卒業と同時に上京して就職をした。
がむしゃらに社長の背中を追いかけ仕事に打ち込んできた。
あっという間に迎えた10年。俺を突き動かしてきたのは、アイツとの約束だった。
10年前、クリスマスの夜。
二人で公園に彩られたクリスマスイルミネーションを眺めながら交わした約束。
なあ……悠人、やっとお前との約束が果たせそうだ。
悠人……覚えてるか?
あの日の約束。
もうすぐだから、待っててくれよ。
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