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泥だらけというのが少しひっかかるが、確かにプレッシャーに簡単に押しつぶされそうだとガートルードは納得する。
「とても稀代の魔術士としての実力があるようには見えないが、お前がこうして使おうと思うのだから、その実力があるのだろうな」
「ああ、ある。入隊試験では、それこそドラゴンも容易に召喚出来るだろう力を確認したからな」
「……!」
ガートルードをはじめ、ガルトたちも驚きに息を呑んだ。
アシルの噂は聞いていたものの、あまり信憑性を感じられなかったのだ。
なぜなら、アシルがその能力を発揮したという噂が一つも聞こえてこないから。
もっと言えば、その逆の噂ばかりが聞こえていた。
――役に立たない。無能。そういう噂だ。
「まあ、実際はこういう状態だ。極端にプレッシャーに弱い」
言いながらハンクは前髪を掻きあげ、溜息を吐く。そうしてから視線をアシルからガートルードに戻して言った。
「この模擬戦闘は我ら、禁士隊の負けだ。ヴァン=フック機動部隊の勝利を認める!」
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