第一章 ”金”の卵

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「ありがとうございました!」  ハンクの宣言に応えて、昏倒をまぬがれた隊士が一斉に一礼した。  それを受けてガートルードたちも礼をする。 「禁士隊の力闘に、敬礼!」 「ありがとうございました!」  勝利した。その実感が沸いてガルトとシエナはにやりと笑う。これで、奨励金は自分たちのものになったのだ。 「では戻るぞ!」 「「おー!」」 「おう」  威勢の良いガートルードにガルトたちも元気いっぱいに応え、機動部隊はさして疲れた様子も見せずに走り去ってしまった。  それを見送った禁士隊に沈黙が下りる。 「……隊長」 「考えるな。機動部隊は体力馬鹿の集まりだからな」 「……はい」  新人とはいえぐったりした様子の隊士たちを見回し、ハンクは溜息を飲み込んで、腹に力を入れて号令をかけた。 「我らも戻るぞ!」 「はっ!」  呻きを上げる同士を担ぎ、禁士隊も帰路へ着いたのだった。
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