第一章 ”金”の卵

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      *  *  *  *  一日の訓練が終わり、ガルトは上機嫌で部屋にいた。すでに夕食も食べ終わり、身体も洗って満たされた気分だ。  まだ濡れている髪をがしがしと拭きながら、ベッドに放って置いた鞄を無造作に掴み上げた。  それを片付けるかと思いきや、ソファに放り投げる。 「あっ……!」  が、ある事を思い出して、それがソファに到達する前に慌ててキャッチした。 「あっぶねぇ。そういや良い物拾ったんだった!」  そのままソファへ腰掛け、いそいそと鞄をまさぐる。  取り出したのは、両手でようやく包み込めるくらいの大きさの卵。その価値を自ら主張するように煌めいている。 「この輝き……絶対高値で売れるな!」  ひとしきり眺めまわした後、適当な布をクッション代わりにして、サイドテーブルに置いた。  ソファに乗せるはずだった鞄は、結局ソファの下へ落ちている。 (さて、明日の休憩中にでもこの価値を調べるか)  にんまり笑って髪を乾かしにかかる。  奨励金が入ったこともあり、ガルトはとても機嫌が良かった。明日の夜はシエナにアルタンテ牛を奢ってもいいとすら考えているほどだ。  適当に髪が乾くと、特に卵に気を配ることもなくベッドに倒れ込んだ。そのまま、数秒で夢の世界へ旅立ってしまったのである。
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