第一章 誕生

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 何かに引き寄せられるように、ガルトは夢から覚めた。どんな夢だったか。もしかしたら夢など見ていなかったのかも知れないが、ともかく、意識は瞬時に冴え渡った。 (……何か、いる?)  殺意も害意もないようだが、確かに何かが部屋の中にいた。それも、このベッドの近くに。 (近い!) 「ひっ」  ばち、と目を開けたそこには、なぜか泣きそうな美人の顔があった。両手で口を覆って怯えている。 (普通ここは、目覚めた俺が悲鳴をあげるんじゃないか? ……あれ? 俺って昨日酔っぱらったっけ?)  気弱そうな美人に襲われる覚えはない。見覚えがあるようでない美人に、ガルトは取りあえず言ってみた。 「お姉さん。悪いけど俺、なんも覚えてないんだけど?」 「……っ!」
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