第一章 誕生

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 美人の目がまん丸になった。驚愕している、というのが正しいだろう。そして、美人は言った。 「わ、わたしは男です! 昨日会ったじゃないですか!」 「は……?」  昨日会った、という台詞に記憶をまさぐる。昨日は模擬戦闘があったから、男女(おとこおんな)と出会うような暇はなかった筈だ。 「……だいたいここ、兵舎なんだけど?」 「まだ寝ぼけてるんですか!? わたしだって兵士ですよ!」 「……確かに禁士隊の制服着てるな。……禁士隊?」  ガルトの目が美人の服を辿った。それからゆっくりと上体を起こす。だんだん頭がはっきりしてきた。 「そうです、禁士隊のアシルです! 静寂の森で襲ってきましたよね! ね!?」 「ちょっ……ぐいぐいくんな!」  縋るように迫ってきたアシルの脳天に、ゴスッ、とガルトの拳が直撃した。 「いっ!?」  ぽろりと涙を落としてアシルが訴えたが、ガルトはすでに記憶を辿ることに集中しており、見ていない。
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