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反射的に怯えたアシルは、ガルトの台詞を聞いて慌てて抗議し始める。
「いえいえいえ! あれは、あれはわたしが召喚したんですよ!?」
「はあ? なんで卵如きをわざわざ召喚するんだよ。……じゃああれか? あれは相当特別な卵ってわけだな?」
胡乱げに言い返していたガルトだったが、後半は何かに気付き、声が明るくなっていた。アシルはそれに気付くことなく必死に訴える。
「特別も特別です! あれは」
(なおさら渡せねーな。良い金になるってんなら――)
「ドラゴンの卵なんですから!」
え、とガルトは服を取り出す手を止めた。今、聞き捨てならない生物の名前が聞こえた気がする。
(いやいや。ドラゴンの卵なんて召喚して、どんな良い事があるってんだよ。不幸しか呼ばねーよ。うん。聞き間違いだな。聞き間違い)
頭を小さく振って一人で納得した。
「ですから返して下さい! 親が襲撃してくる前に!」
「……ってお前ぇ! マジでか!? マジでドラゴンなのか!?」
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