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ドラゴンの襲撃。それがどういう結果を招くか知らない者はいない。というかそもそもドラゴンの召喚すら危険だという事を、アシルは分かっていないのだろうかとガルトは疑う。
「だっ、だからそう言ってるじゃないですか! あとあんまり大きな声で言わないでくださ」
「て・め・え・が! でかい声出してんだろーが」
「いたっ、いたたっ……!」
あれだけ叫んでおいて大声出すなとのたまうアシルに、ガルトは容赦なく拳でぐりぐりしてやった。しかし声は抑える。
「ほんっとーにドラゴンの卵なのか? 間違いねーのかよ。大体ドラゴンって言えば魔術士が千人いないと召喚出来ないんだぞ? 昨日あの森でそんな大人数は見かけてない。ドラゴンの卵なんて召喚出来るわけないだろ」
「……!」
出来るわけがない。そう言った途端にアシルは動きを止めた。さきほどとは打って変わって大人しくなったアシルを不審に思い、ガルトはじっとその表情を見守る。
すると驚いたような表情がどんどん曇り、顔も俯いてしまった。気付けば両手もきつく握りしめられている。
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