第一章 誕生

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「……おい?」  声をかけてもすぐに反応はなかった。しばらくして、アシルは俯いたまま小さな声で主張する。 「……本当に、わたしが召喚したんです。そういう事が出来るって……証明したくて……!」 「……」  ガルトはこっそり溜息を吐く。アシルの主張は分かった。あの卵をアシルが召喚したとして、それでもあれがドラゴンの卵だとは信じ難いのだ。  それほどドラゴンを――その卵であろうと、召喚するなどという事は難しいからだ。  ちらりと窓を見やると暁の光がカーテン越しに差し込んでいた。ついでに壁掛け時計を見やれば、もう訓練開始時間が迫っている。完全に部屋を出る時間帯だ。  これ以上私的な時間は取れないとガルトは判断した。 「お前の主張は分かった」 「! それじゃあ」 「あれをお前が召喚したってのは、信じてやる」  喜んで口を開いたアシルが喋る前に、ガルトはその首根っこを掴みつつ早口に言い募った。ついでに扉へ向かう。
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