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「だがドラゴンだってのは悪いが信じられねえな。そんな事出来るやつがいたら――」
言いかけて、ガルトは突如足を止めた。
「……? あの」
怪訝そうに振り返るアシルとじっと目を合わせる。
(ーーいる。いるじゃねーか禁士隊に。……そういやこいつ、なんて名乗った?)
不安そうにガルトを見つめる様子からは、やはり大物の迫力はない。
「お前って……まさ」
「ガルト!」
「ぎゃっ!?」
「もう訓練始ま……ん?」
「……シ、シエナ……」
シエナが開け放った扉は、かなり大きな音を立ててアシルの頭に直撃した。見ようによってはガルトが扉に当たるように、アシルの頭を突き出していたかと思われるだろう。
さすがのガルトも罪悪感が膨らみ、気絶したアシルをさっとシエナから離し、とりあえず床へ横たわらせた。
「何そいつ?」
やった本人は不思議にそうに首を傾げてそう訊いてきた。
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