第一章 誕生

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「だがドラゴンだってのは悪いが信じられねえな。そんな事出来るやつがいたら――」  言いかけて、ガルトは突如足を止めた。 「……? あの」  怪訝そうに振り返るアシルとじっと目を合わせる。 (ーーいる。いるじゃねーか禁士隊に。……そういやこいつ、なんて名乗った?)  不安そうにガルトを見つめる様子からは、やはり大物の迫力はない。 「お前って……まさ」 「ガルト!」 「ぎゃっ!?」 「もう訓練始ま……ん?」 「……シ、シエナ……」  シエナが開け放った扉は、かなり大きな音を立ててアシルの頭に直撃した。見ようによってはガルトが扉に当たるように、アシルの頭を突き出していたかと思われるだろう。  さすがのガルトも罪悪感が膨らみ、気絶したアシルをさっとシエナから離し、とりあえず床へ横たわらせた。 「何そいつ?」  やった本人は不思議にそうに首を傾げてそう訊いてきた。
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