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「さあ、もう後がないぞ?」
警察官のリーダーのような男が、そう言いながら、男女を囲む円の弧をじりじりと狭めていく。
しかし、そこで男は、なんの焦った様子もなく
「へっ!残念だったな!」
ポケットから出した右手に握ってたスイッチを押した。
「うわあぁぁ!」
男がスイッチを押すと警察官たちが集まっていた場所に半径4mほどの穴があいた。
いつの間に掘ったのかは不明だが、その穴の大きさは、警察官全員を落とし、閉じ込めるには、十分すぎる大きさであった。
「なぁーんだ。久しぶりの戦闘かと思ったのに。」
右腰の銃に手を掛け、戦闘の準備をしていた女のほうが、銃から手を話離しながら、不服そうに言う。
「避けられる戦いは避けたほうがいいだろ。オレとお前の能力にも銃にも限界があるんだし。」
まるでドラマか何かのように、持っていた落とし穴のスイッチをその辺に投げ捨てながら、男のほうがだるそうにいう。
「まぁいいわ。目的のものもちゃんと盗めたし、逃げるわよ。車に乗って。」
そんなことを離しながらも、3mほどの塀をなんなくジャンプで飛び越えた男女2人が、黒色の車ーそんなに高そうな車ではなく、国産の機能性重視の車のようだーに乗ろうとすると、先ほどの落とし穴の中から、声がした。
「てめぇら!なにもんだ!?」
そのような声が、落とし穴の中に響く中で、男は車の助手席に座り、ドアだけ閉めれば、いつでも出発できる状態になって
「俺たちは正義の大怪盗、Sonic Waveだ!」
ヒーローっぽいポーズをとりながら言った。
「正義の人が警察に追われてては世話ないわね・・・」
女のほうはアクセルを踏みながら、小さい声で呟いた。
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