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「それは確かなのか、唯?」
まだ完全には動けないが、麻酔もだいぶ落ち着いてきたオレも、敵に聞こえないように小さい声で聞き返した。
「うん。さっき絶対空間で確認したけど、間違いないよ。」
まじか・・
唯の絶対空間は、目では直接見えないところ、例えば銃の内部なんかも確認できる。
つまり、本当に愛の銃は弾切れを起こしているのだ。
だとするとまずいな・・・
オレは心配になり、愛を見る。
さっきまで部屋の奥ーキッチンの前辺りだーを飛んでいたが、今は部屋の銃は中央辺りを飛んでいる愛の目には、絶望のようなものは一切ない。
あの目はそう、まるで何かをねらっているような・・。
よし、とりあえずここは愛に任せてみるか。
「ほらほら!どうしたお嬢ちゃん!?」
徐々に部屋の入り口から中央に移動してきているヨウは、容赦なく愛を打ち続けてるが、愛は今だに避け続けている。
「・・おじさんの負けだよ?今、降参するなら見逃してあげる。」
愛は一定の円を描くように飛びながら、ヨウにむかってそう言った。
「おいおい、気は確かか、お嬢ちゃん?そっちこそ、蓮峰院 唯を渡すなら見逃してやらないこともないぜ?」
弾切れを起こしていた銃に、新しいマガジンを装填したヨウが、再び銃を愛に向けながら言った。
「そう?残念。」
そう言うと愛はヨウの真上まで飛んでいった。
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