ユキと月島の2週間

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外灯の下。 あの男が、笑いながら立っている。 分かってる。 これは夢だ。 また、直前に目が覚める。 早く、覚めろ。 早く。 ユキが、恐怖で叫ぶ前に!! 「お前は、もう刺したからな」 男が月島を見て、薄笑いで言う。 月島「ユキ!逃げろ!」 男は、ユキにナイフを振りかざした。 月島「やめろ!!やめてくれ!ユキ!」 ユキ「きゃあああ!!」 男はユキを片腕で押さえて、一思いに、ユキの胸にナイフを刺した。 月島「ユキ!!」 ユキ「琉…」 ユキの身体の力が抜けていく。 男が片腕を離すと、ユキは、そのまま倒れた。 男の手には、ユキの血が付いたナイフ。 ナイフの抜けた、ユキの胸から溢れる血液は雪を染めていく。 月島「嘘だ…、嘘だ!!ユキ!!」 ユキ「ちょっと!琉生!」 はっと目を開けると、心配そうな顔をしたユキが見えた。 月島「ユキ!」 ユキ「大丈夫?顔色が良くっ…!!」 月島はユキを抱き締めていた。 ユキ「琉生?」 そして、一旦離れると、月島は、ユキを確認するように頬に触れてから、キスをした。 ユキ「!!」 ユキは驚いて、息も出来ない。 ユキ「る…、」 唇と唇の間から漏れたユキの息が月島の頬をかすめる。 月島は、ユキをベッドの中に引き寄せた。 ベッドの中に引き寄せられても、月島のキスは止まらず、深くなっていく。 ユキ「ちょ…、琉…」 ようやく唇が離れた時、ユキは月島に見下ろされていた。 月島は、ユキの額に自分の額を合わせた。 ユキ「どうしたの?」 ユキは、月島の頬を撫でる。 月島「ユキ…、お前を…、失う、のが…怖い」 ユキ「琉生、震えてる」 月島「怖いんだ…」 ユキは月島を見つめる。 ユキに見つめられると 崩れていく 崩れていくんだ 抑えていた想いが 理性が ユキを手に入れたい気持ちが溢れだす。 .
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