ユキと月島の2週間

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窓から朝陽が差し込み、ユキは薄目を開ける。 ベッドサイドの机に置いてある目覚ましは鳴っていない。 ユキは、ベッドの中から手だけを伸ばして、目覚まし時計を探す。 ふと、その手を掴まれ、引き寄せられる。 月島「今日は休め…」 寝ぼけながら、月島が耳元で囁く。 ユキ「琉生が休みたいだけでしょ? 私は、働かないといけないの! まったく。琉生は、病人なんだから休んでればいいじゃない」 月島「ユキと休みたい…」 ユキ「私はお断り!」 ユキは、シーツを1枚まとうと、浴室へと向かう。 月島「昨日の可愛いユキは、どこへ…」 ユキ「なんか言いました!?」 月島「いや…」 しばらくすると、浴室からシャワーの音が聞こえ出す。 月島は、ベッドから降りると、冷蔵庫からミネラルウォーターを出して飲んだ。 ユキは、濡れた髪のまま、すぐに出て来た。 ユキ「朝食が出来る頃だから、持って来るわ」 月島「ユキ」 ユキ「何?」 月島「朝食の後、どこか出掛けないか?」 ユキ「どこかって?」 月島「観光だ。 せっかく、北海道にいるのに、部屋に閉じこもってばかりじゃ、損だと思わないか?」 ユキは考える仕草をする。 ユキ「まあ、それもそうね」 月島「だろ?なら決まり!」 無邪気に笑う月島を、ユキは少し微笑みながら見ていた。 .
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