最終章

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何度も唇と身体を重ね 月島の抜糸は無事にすみ 明日は、北海道を飛び立つ日。 ユキは、月島の部屋のベランダから、夜空を見上げる。 キラキラした星が瞬き、ユキの吐く息に霞む。 自分の幸せなんて考えたことなかった。 誰かの幸せも考えたことなかった。 ただ 生きるのに必死で 生かせることに必死で…。 自分の過去の罪は消えない。 そんな私が、琉生の傍で、ずっといていいの? これから先 誰に何を言われても 誰かに傷付けられても 心折れることなく 琉生の傍に居続けられる? 私のせいで 琉生が傷付くようなことがあったとしても 後悔せずに 琉生を見ていられる? ユキの目から、涙が溢れる。 怖い。 こんなことになるなら あの時、一緒に戻って来るべきじゃなかったって 後悔するのが 怖い。 あの日の琉生の言葉が聞こえる。 「お前は何を心配しているんだ。 未来か? 未来を心配してたら、前に進めないじゃないか」 そうだよ。 心配で 不安で 怖くて 私は前に進めない。 ごめんね… ごめんね、琉生。 私、覚悟が出来ない。 だから 好きでも 一緒に 戻れない。 .
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