最終章

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飛行機のエンジンが本格的になったと思った時、不意にエンジン音か弱まる。 そして、機内にCAの声が響く。 「お客さま!困ります! 直前のご搭乗は、扉近くの席に…! お客さま!」 機内がざわつく。 ユキ「琉生っ!どこなの!?」 月島は、目に当てていた手を外して止まる。 ユキ「琉生っ!!」 幻聴ではないことが分かり、月島はシートベルトを外して立ち上がる。 そして、通路に出ると、愛しい声のする方へ走った。 そこには CAの手を振り払いながら、座席を見渡すユキがいた。 何も持たず、仲居姿のままだった。 月島「ユキ…」 ユキの姿が信じられず、月島は呟くことしか出来なかった。 月島「ユキ…」 ユキ「琉生!」 月島は、ユキに走り寄ると、ユキを抱き締めた。 「お客さま、フライトに支障が出ます!」 とうとう怒り出したCAに、月島はユキを抱き上げた。 そして、自分の席に向かう。 ユキ「琉生!降ろして! みんな、見てる!」 琉生「嫌だね」 ユキは、顔を隠すように月島にしがみついた。 そして、顔を隠しながら呟いた。 ユキ「本当に身体1つで来ちゃった…」 月島「充分だ」 月島は、ユキを自分の座席の隣に降ろす。 そして、シートベルトをした。 CAは、ベルトを確認すると、怒ったように戻って行った。 奏「すげぇフェイント」 そう呟いた奏は、榊と嬉しそうに笑っていた。 そして、今度こそ、飛行機は4人を元の生活に戻すべく飛び立った。 完 .
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