続編

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琉生「親父、ちょっといいか?」 父親「琉生か。何だ?」 琉生の父親は、書斎でパソコンと向き合いながら、琉生を見る。 琉生「突然なんだけど、親父に紹介したい人がいるんだ」 琉生の父親は、驚いた表情をする。 琉生の父親… 月島英一。 月島財閥の会長に鎮座する。 現場は琉生に任せ、第一線からは退いているが、その影響力は計り知れない。 「鬼の月島」の異名を持つ男。 英一「確かに、突然だな」 鬼の月島が微笑む。 琉生「プロポーズしたんだ」 英一「ほう。 私に話を持って来るということは、相手は、お前に応えたんだな?」 琉生「ああ」 英一「でかしたぞ、琉生! 悩みの種だったんだ。これを見ろ」 英一は、向き合っていたパソコンを琉生の方へ向ける。 英一「お前に任せた会社の業績が、最近落ちていただろう? これで、私も安心できる!」 琉生「親父」 英一「で? どこのご令嬢なんだ?」 琉生「ご令嬢じゃない」 英一「何?」 琉生「彼女には、両親も兄弟も今はいない」 英一「どういうことだ?今はいないって… 海外にでも暮らしているのか?」 琉生「違う。 亡くなって、今はいないんだ」 英一「たった一人の身寄りのない女ってことか?」 琉生「そうだ」 英一「家柄もない?」 琉生「そうだ」 英一「琉生、お前騙されてるんだ。 小さい頃から、口すっぱく言ってるだろう? 私たちみたいな家柄には、悪い奴が近寄って来るから用心しろと」 琉生「彼女は、そんな人じゃない」 英一「お前は、見る目がないだけだ。 結婚したいなら、私が紹介してやる。 そもそも、お前には決まった相手が…」 琉生は英一の話を遮る。 琉生「結婚がしたいんじゃない! 彼女と一緒に、これからを生きていきたいだけだ!」 英一「会社の業績が下がった理由はそれか… 女なんかに、うつつをぬかしてるから!」 琉生「彼女のことを悪く言うな! 例え親父でも、彼女を悪く言う奴は許さない」 英一「父親に向かって、なんだその態度は!?」 琉生「今時、流行らない。 会社のためだとか、家のためだとか。 それで会社が良くなって、家柄が良くなって、一体誰が幸せなんだ?」 英一「私たちには、家を途絶えさせるわけにはいかない。 会社もなくすわけにはいかないんだ」 琉生「何のために?地位か?名誉か?名声か?」 琉生は鼻で笑う。 .
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