続編

6/92
前へ
/207ページ
次へ
英一「それだけじゃない。責任もあるだろう?社員たちのために」 社員のことを出され、琉生は英一から目を離す。 琉生「それでも、誰かの犠牲がないと成り立たないなんて、おかしい」 英一「それは『俺は社員たちのために、自分を犠牲にするのは嫌だ』と言ってるのか?」 琉生「その考え方で合ってるのかって言ってるんだ」 英一は、溜め息をつくと、パソコンの電源を落とす。 英一「とにかく、私は会わない。 百合子も同じだろう」 琉生「会う、会わないは関係ない」 英一「どういうことだ?」 琉生「親父も、お袋も会ったことがあるからだ」 英一は、琉生から視線を外し、考えているようだった。 琉生「ユキだよ」 英一「ユキ?ユキって…」 琉生「蒼井から預かったメイドだ」 英一「馬鹿な! メイドを妻にするって言うのか!」 琉生「もうメイドじゃない」 英一「同じだ!絶対に許さない!」 書斎に響く、英一の声。 聞く耳を立てるつもりはなかったけど、通りかかったら、琉生と琉生のお父さんの声が聞こえた。 ユキは、書斎のドアの前で視線を落とした。 そして、ユキは自分の部屋に戻った。 また改めて付けてもらった、ハンモックに揺られる。 やっぱり、そうだよね。 簡単に許してもらえるはずない。 けど ここにいるのは、どうなの? 今はメイドじゃない。 認められてもないから、婚約者でもない… ただ、転がり込んだだけ… その時、琉生がユキの部屋に入って来る。 ユキは、わざと明るく話す。 ユキ「ノックをして」 琉生「したさ」 琉生は、慣れたように、ハンモックに乗る。 ユキ「狭いじゃない」 琉生「温かくていいだろ?」 琉生がユキの額にキスをする。 ユキ「何かあったの?」 ユキは、琉生の表情を見る。 琉生「いや。 想定していたことが起こっただけさ」 琉生は困ったように微笑みながら、ユキを見た。 ユキ「琉生、私さ…」 琉生とは一緒にいるけど、ここは出て行く。なんて…言える? でも、働いてもないんだし… 琉生「どうした?」 ユキ「う、うん…」 .
/207ページ

最初のコメントを投稿しよう!

74人が本棚に入れています
本棚に追加