続編

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湯気が立ち込める浴室。 浴槽に二人で入っても、まだゆとりがある中、乳白色のお湯が揺れる。 ユキ「疲れた?」 琉生「まあな。こうも遅いと、さすがに堪える」 ユキ「会社…大丈夫?」 琉生「人のこと心配してる場合か? 親父は細かいから大変だろ?」 ユキ「まあ、ね。でも、大丈夫」 琉生「今の会社の経営を確かなものにして、親父に文句を言わせなくする。 そしたら、ユキ。 お前は、うちの会社で働け。 もちろん、社長夫人として」 ユキ「もしかして、そのために毎日?」 琉生はユキを抱き寄せる。 琉生「当たり前だ。 今まで、ここまで真面目に仕事したことはなかった。 お前が俺を変えた。責任取ってもらうからな」 改めて、琉生の気持ちを知って、自分の不安な気持ちが恥ずかしくなる。 ユキ「ごめん、琉生」 ユキの目が涙で潤む。 琉生「何故、謝る?」 ユキ「バカだな、私」 一瞬でも、疑うなんて。 琉生は、ちゃんと愛してくれてる。 不安になることも 疑うこともない。 ただ、信じていればいい。 昨日のお風呂は、きっと外で入って来ただけで 指輪は、きっと、どこからか紛れ込んだだけ。 琉生を信じる。 しかし、それからも、琉生は朝早くから、夜遅くまで、毎日働いていたが、会社の業績は一向に良くならず、悪くなる一方だった。 琉生も疲れはてている様子が見て取れた。 琉生「所詮、俺が働いたところで、足を引っ張ってるだけなのかもしれない… 社員たちが付いて来てくれてる姿を見ると、逆に自信がなくなる… プレゼンしてる時の反応はいいし、手応えもあるのに、後日、契約となると上手くいかないんだ」 ユキ「必ず良くなるはずよ。 琉生の会社なのよ? 琉生が諦めなければ、必ず良くなる」 琉生「そうだよな… 先に、風呂に入って来る」 ユキ「うん」 お風呂に行く琉生の後ろ姿を見ながら、ユキは考える。 おかしい。 琉生が、これだけ毎日、手を尽くしているのに、良くならず、現状維持にすらならない。 こんなことってあるのかしら。 もしくは… 誰かが邪魔をしているか。 .
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