続編

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琉生「今日は、うちの顧客が来るんだ。 何故か、会社じゃなく、うちで契約したがってな」 ユキ「分かった。食事は?」 琉生「朝イチで来るから、いらないだろ」 ユキ「契約、取れるんだね」 琉生「ああ」 しばらくして、玄関のチャイムが鳴る。 ユキ「はい」 ユキが出ると、スーツを着た中年の男性が立っている。 ユキは微笑む。 ユキ「お待ちしておりました。どうぞ中へ」 客間に通すと、ユキは紅茶を出す。 「ありがとう」 ユキ「とんでもありません。 ただ今、月島が参りますので、少々お待ちください」 「あぁ。 ところで、今日は会長は?」 ユキ「旦那様は、昨日より海外に出張でございますが…何か、ご用でしたか?」 「いや、違うんだ。 会長から、琉生社長の会社とは契約しないようにと圧力をかけられてね…」 やっぱり! 「鬼の月島の異名を持つだけあって、中小企業は従わざるを得ない。 けど、私は琉生社長の熱意に打たれてね… 会社で契約となると、どこから会長に漏れるか心配で。 だから、お邪魔させてもらったんだ。 しかし…、親子なのに…」 ユキ「そうでしたか」 中年の男性は、少し喋り過ぎたと笑った。 その後、琉生が来て、無事に契約は済んだ。 ユキ「お疲れさま」 契約相手を見送って、ユキは琉生に声をかけた。 琉生は、窓の外を眺めている。 琉生「親父だったんだな…」 ユキ「え?」 琉生「俺の仕事を邪魔してたのは。 いや、仕事だけじゃない。 ユキとのことだって! 全てを邪魔してるんだ!」 琉生は、壁を殴る。 ユキ「…聞いてたの?」 琉生「もう我慢の限界だ…」 琉生の目は怒りと悲しみに満ちていた。 ユキは心が痛んで、かける言葉が見付からなかった。 .
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