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梅茶で治すはずだったのに。
ここ連日の吐き気と、めまいに負けた。
ユキは、総合病院の待合で座っていた。
こう体調が優れないんじゃ、仕事にもならない。
ここは、かつて、ユキの兄が入院していた病院。
なつかしいな…
こうして、兄を思い出にすることが出来たのは、きっとあの時、私の想いを受け止めてくれる人がいたからだ。
もう、どれくらい会ってないんだろう。
どこで何をしてるんだろう…
メールにも、電話にも出てくれない。
私って、もう
終わった女?
また見える風景がぼやけて、ユキは目を擦る。
涙もろくなって、泣いてばっか…。
「華村 ユキさ~ん」
ユキ「はい」
「まず、こちらで採血と採尿をしてもらいます。
その後に、レントゲン、CT、エコーの検査です。
それから、診察になりますから」
ユキ「そんなに…?」
「この際だから、全部調べた方がいいですよ」
ユキ「分かりました」
採血と採尿の検査は、すぐに終わったが、次のレントゲンへ、なかなか案内されない。
ユキが時計を見た時だった。
「華村ユキさ~ん!」
ユキ「はい」
「診察室にお入り下さい」
ユキ「え!?まだ、レントゲンとか…」
「どうぞ、こちらです」
看護師の笑顔に促されて、ユキは診察室に入る。
医師「華村ユキさん?」
ユキ「はい」
医師「今日は、レントゲンもCTの検査も出来ませんねぇ」
ユキ「何故ですか?」
医師「おめでたですよ、華村さん」
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