続編

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遠くで、響くような医師の声が聞こえる。 ーーー 採血の結果、貧血が進んでます。 これから、赤ちゃんが大きくなっていくと、どんどん鉄を赤ちゃんに取られちゃいますからね。 鉄剤を処方しておきましょう。 それから、妊娠の継続をどうするかを次の再診日までに決めて来て下さい。 相手の人と、よく相談してね。 身体は冷やさないように 重たいものは持たないように 身体に強い衝撃は禁物です。 今は一番大事な時ですからね。 ーーーー ユキは、厨房で両肘を付きながら、ぼーっとしていた。 お腹の中に… 琉生の子が… 直輝「どうだった?」 不意に話し掛けられて、ユキは顔を上げる。 ユキ「…貧血だって」 直輝「貧血? お前、食べないからだろ? 食生活の問題なんじゃないのか?」 ユキ「違う…」 直輝「何が?」 ユキ「違うの。 デキてた…」 直輝「!?」 直輝は驚いて、ユキを見る。 ユキ「デキてたの…」 ユキは口に手を当てて、大粒の涙をこぼしていた。 直輝「琉生様には…?」 ユキは顔を横に振る。 ユキ「連絡が取れない。 次までに、産むか産まないか、決めなきゃいけない…」 ユキは顔を伏せて、泣き出してしまう。 ユキ「どうしよう… 妊娠してるせいで、情緒不安定過ぎる」 直輝「とりあえず…、何に注意しろって?」 ユキ「覚えてない。そんなの」 直輝「思い出せ」 ユキ「…身体を冷やすな… 重いものを…持つな 身体に強い衝撃は…禁物…とか」 直輝「お前が、どうするかを決めるまで、俺がフォローする。 だから、無理するな」 直輝は溜め息をつきながら、椅子に座る。 直輝「しかし…、相手が悪いよな。 寄りによって、月島琉生の子供だぞ? 月島財閥を揺るがす事態だ」 ユキは、目を伏せた。 .
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