トラブル

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月島「受け付ないんだ。 お前だって、食欲のない時くらいあるだろう?」 ユキ「吐き気のするくらい、嫌気がさす時も」 月島「なら、分かるだろう」 ユキは、持っていたお盆を乱暴に置く。 ユキ「恵まれてんのね」 月島「何?」 ユキ「食わなくても、やっていけんでしょ? いかにも、金持ちの考えそうな甘さ。 甘過ぎて、こっちが吐き気するわ!」 月島「何が言いたい?」 ユキ「吐き気がしたって、具合悪くたって、食わなきゃやっていけないっつってんの! あんた、今まで、そういう思いしてきたことないんでしょ!? だから、恵まれてるって言ってんのよ! 食いたくなきゃ、いっそのこと、死んで! 迷惑よ!」 あまりのユキの剣幕に、月島は唖然としながら聞く。 月島「お前…、何で怒ってる?」 ユキ「何でって…」 二人の間に沈黙が流れる。 ユキ「それは、業務を円滑に進めるためよ」 月島「なるほど」 そして、月島は、イタズラに微笑む。 月島「いいだろう。 その円滑な業務とやらのために、食わせてくれ」 月島は、口を開けて、待つ。 ユキ「は?」 月島「どうした?協力してやるって言ってんだ。 嫌なら、食わないぞ」 ユキ「お断り。 社長って、何でこう馬鹿ばっかなの?」 月島は、鼻で笑うと、ナイフとフォークを持つ。 そして、食事を見て、改めて溜め息をつくと、食べるのを諦めてナイフとフォークを置く。 月島「食事は本当に無理なんだ」 ユキは、フォークを持つと、前菜に突き刺す。 そして、月島の顔の前に突き出した。 ユキ「約束よ。食わせてあげるから、 食べて」 月島「お前にも、人並みの心があったか」 ユキ「勘違いしないで。食事介助料頂くわ」 月島「金の亡者め」 ユキ「お子ちゃまよりマシ」 月島は、差し出された前菜を口にした。 .
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