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数日後
琉生は、書斎でパソコンと向かい合う。
パソコンの画面には、琉生の会社の経営状況が出されていた。
一時の危機的状況は、すぐに脱した。
鶴の一声だった。
社員の給与も難しくなってきた時、英一が琉生の会社に莫大な投資をした。
会社の安定と引き換えに失ったもの…
琉生は、ドサッと背もたれに、もたれかかった。
目を閉じると見えるもの…
勝ち誇ったように笑う笑顔。
鼻で笑う癖。
泣き顔。
ベッドでの潤んだ瞳。
指を絡めると、すり抜ける栗色の髪。
触れると、よじる身体。
全部
全部…
琉生は、目を押さえる。
見えないように。
思い出さないように。
その時、書斎のドアが開く。
蒼井「み~っけ!」
琉生は、目を押さえていた手を離し、溜め息をつく。
琉生「何の用だ?」
蒼井は、パソコンの机の端に座った。
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