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蒼井「な~んかさ、お前の噂、しっちゃかめっちゃかなんだけど?」
琉生「噂?」
蒼井「ユキちゃんと別れたとか、お前の会社が倒産しかけてるとか、お前が宝生希保と結婚するとか?」
琉生「あながち間違いではない…かもな」
蒼井「はあ?」
琉生「会社は倒産の危機を脱した」
蒼井「月島英一に泣きついて、だろ?」
琉生「勘違いするな。親父が勝手にしたことだ」
蒼井は鼻で笑う。
琉生「希保とは婚約する」
蒼井「好きでもないやつと?」
琉生「これから好きになればいい」
蒼井「どうかなぁ」
琉生「ユキのことも好きになれたんだ。
希保のことも好きになれるはずだ」
蒼井は溜め息をついた。
蒼井「大体、何でユキちゃんと離れることになっちゃったのさ~?」
琉生「聞くな」
蒼井「聞くよ」
今度は、琉生が溜め息をつく番だ。
琉生「ユキは…」
琉生は、視線を落とす。
琉生「アイツは、親父と寝た」
蒼井「…何それ?」
琉生「そこのデッキに、証拠も入ってる」
蒼井は、デッキのスイッチを入れて、テレビを付けた。
琉生「やめろ!」
蒼井は、琉生の言葉を無視して、画面を見る。
画面には、ユキと英一が写し出された。
ユキと英一が寝室に入って来る。
英一の部屋のベッドの脇で、エプロンを外し、ベッドに乗るユキ。
そして、ユキは振り返り、英一をベッドに招いていた。
英一もベッドに乗る。
そこで映像は切れた。
琉生「…これが、俺たちの全てを変えた。
信じることなんて出来ない。
親父と寝たやつと、一緒になんかなれるわけないだろ?」
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