続編

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琉生「どうした?」 ユキ「何でも…うっ!」 吐き気を我慢すればするほど、めまいも出てきて、ユキはしゃがみこむ。 琉生「ユキ!?」 ユキ「大丈夫、です… どうか、琉生様は、お部屋にお戻り…」 琉生「断る」 ユキ「な、ぜ…」 琉生「俺に対しての、その敬語も、閉ざした心も気に入らないからだ」 琉生はユキを抱き上げると、ベッドへ運ぶ。 ユキ「もう…大丈夫、です。 本当に。 ですから…」 琉生「医者は何て言ってる?」 ユキ「え…?」 核心ついた質問に、ユキは琉生を見た。 琉生の目は真っ直ぐに、ユキを見ていた。 琉生「医者は何て?」 ユキ「それは…」 …きっと、これは神様がくれたチャンス。 今なら、言えるかもしれない… いつまでも言えない私に、きっと神様がしびれを切らして… 今なら… ううん。 きっと、今しかない… しかし、ユキは琉生から目をそらす。 ユキ「お医者様も…分からないそうです」 琉生「分からないって…」 ユキは笑顔を作る。 ユキ「恐らく、胃炎だろうけど、私が胃カメラの検査を拒否してるから、分からない…そうです」 琉生「カメラが、そんなに嫌か?」 ユキ「まあ…。苦しそうですから」 琉生「悪い病気だったらどうするんだ」 ユキ「どうもしません。…どうしたくもありません」 琉生はため息をつく。 琉生「次、病院はいつだ?」 ユキ「琉生様には、関係のない…」 琉生「いつだ?」 ユキ「……」 琉生「ユキ」 琉生は、握りしめるユキの手を包む。 琉生「何故、隠す?」 ユキ「それは…。 病院に行く日を聞いて、どうするおつもりですか?」 琉生「一緒に行く」 ユキは悲しそうに笑う。 ユキ「そんなこと、いけません。琉生様」 .
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